那覇空港でのトラブルの流れ
沖縄県の那覇空港で2015年6月、航空自衛隊のヘリコプターと民間機2機が交錯したトラブルで、国の運輸安全委員会は27日、調査報告書を公表した。ヘリの操縦士が管制官の指示内容を誤認したことや、管制官から民間機への着陸やり直しの指示が遅れたことなどがトラブルにつながった、と指摘した。
トラブルは15年6月3日午後に発生。ヘリが滑走路を横切り、それに気づいた離陸滑走中の全日空機が急ブレーキをかけた。その滑走路に日本トランスオーシャン航空(JTA)機が着陸し、全日空機の後方約570メートルで止まった。
報告書によると、管制官が全日空機に出した離陸許可を、ヘリ操縦士は自機への許可だと誤認。管制官からの無線の一部が不明瞭で、正確には聞き取れていなかったのに内容確認をせず、周辺状況の目視も不十分だった。
ヘリは許可に応じる復唱をしたが、全日空機の復唱と無線が重なり、管制官にはヘリ側の声が聞こえず誤認に気づけなかった。
全日空機が急ブレーキをかけたのは離陸を中止できる規定速度ぎりぎりだった。それから管制官がJTA機に着陸のやり直しを指示したが、同機はすでに着地、減速するためエンジンを逆噴射していた。報告書は「指示が時機を逸した」と指摘した。
再発防止のため航空自衛隊では、機長と副操縦士が管制官との通信内容を互いに確かめることを確認。国土交通省航空局は、管制官が「待機」を指示する際に、関連機の情報提供を徹底するよう通達を出した。(伊藤嘉孝)