ソウル中心部にある在韓国日本大使館の近くに、日本の植民地支配下にあった朝鮮半島から徴用された労働者の像を設置する計画があることが27日、明らかになった。韓国の市民団体が、すでにある慰安婦を象徴する「少女像」の横に建てることを目指している。実際に設置されれば、日韓の外交問題に発展しそうだ。
市民団体は28日に記者会見し、正式に発表する。今年8月15日の設置を目指しているという。市民団体は、徴用工は奴隷のように扱われ、日本政府は謝罪も補償もしていないと主張。こうした考えに基づいて問題を提起するために設置するという。
朝鮮半島出身の徴用工に関する賠償をめぐっては、日本政府だけではなく、韓国政府も、1965年の日韓請求権協定で解決されたと確認している。
一方、日本大使館近くの「少女像」をめぐっては、外交関係に関するウィーン条約で規定する「公館の威厳の侵害」に関わるとして、日本政府は移転を要求してきた。2015年末の慰安婦問題の日韓合意では、韓国政府が適切に解決されるよう努力することが確認された。こうした中で労働者像が新たに大使館近くに設けられれば、日本政府の反発は必至で、日韓関係がさらに悪化しかねない。(ソウル=東岡徹)