鈴木淳司委員長の解任決議案が提出され、委員長席に集まる与党の議員ら。右から2人目は金田法相=2日午前9時22分、岩下毅撮影
「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案の審議をめぐり、民進党は2日午前、鈴木淳司・衆院法務委員長(自民党)の解任決議案を衆院に提出した。これを受けて、午前9時過ぎに始まった法務委での法案審議は7分間で休憩に入り、事実上流会した。大型連休明けの5月第2週の衆院通過を目指した与党の国会戦略は困難な情勢になった。
特集:「共謀罪」
民進は「共謀罪」法案の審議入り以降、法務省刑事局長の委員会出席を異例の起立採決で決め、金田勝年法相の答弁を求める質問者の意に反して、刑事局長に答弁させた鈴木委員長の委員会運営を「強引だ」と批判。こうした運営方針の撤回と、4月21日の委員会で同僚議員と相談した民進議員に「テロ準備行為じゃないか」と発言した自民の土屋正忠理事の謝罪を求めたが、いずれも受け入れなかったため解任決議案の提出に踏み切った。
与党側は、今村雅弘・前復興相の東日本大震災に関する問題発言で国会が一時空転し、衆院として6年ぶりに大型連休の合間に委員会審議を7時間にわたり行うことで、審議の遅れを取り戻す狙いがあった。
委員長解任決議案は9日の衆院本会議で扱われるため、与党側が同日に求めていた参考人質疑も見送られる見通しだ。(南彰)
■「共謀罪」法案をめぐる今後の審議日程への影響
2日 衆院法務委員長の議事運営に反発し、民進党が委員長解任決議案を衆院に提出
8日 衆院予算委員会で首相出席の集中審議
9日 衆院法務委員会で与党提案の参考人質疑→開かれず?
衆院本会議で法務委員長の解任決議案を採決→否決?
参院予算委員会で首相出席の集中審議
10日 衆院法務委員会で審議再開? 12日にも審議を予定
→政府・与党が想定する5月第2週の法案の衆院通過は困難に