イタリア政府は2日、経営危機にあったアリタリア航空が「特別管理」に入ることを承認した。事実上の破綻(はたん)処理手続きに入ることになり、運航に支障が出ないように6カ月間のつなぎ資金として6億ユーロ(約730億円)の融資も決めた。今後は伊国営放送RAIの元幹部ら、政府が指名した3人の特別管財人のもとで再建を図る。
アリタリア航空、事実上の経営破綻 「運航は続ける」
アリタリアは2日、政府に特別管理を申請。カレンダ経済振興相は現地メディアに、特別管財人が買収に関心がある企業などを15日間以内に募り始める見通しを示した。
経営難の背景には、格安航空会社(LCC)との競争がある。「単一市場」を目指す欧州連合(EU)が航空自由化を進めた結果、域内の航空会社はEU加盟国間の路線に参入しやすくなり、短距離路線が得意なLCCのシェアが拡大。欧州メディアによると、イタリアを結ぶ路線でも欧州最大のLCC、ライアンエアー(アイルランド)が2014年、乗客数でアリタリアを抜き、首位に立った。
さらに最近では原油価格の値下がりで航空運賃の引き下げ競争も激しくなっていた。ロイター通信は、関係者の話として、アリタリアが1日当たり約100万ユーロの損失を出し、5月中旬にも資金繰りに行き詰まる可能性があったと報じていた。(ロンドン=寺西和男)