女子決勝の第2課題で完登し、ガッツポーズする野口啓代=林敏行撮影
(7日、ボルダリングW杯第4戦)
国内開催の大舞台で、27歳のベテランが意地を見せた。日本女子では今季初の銀メダルを獲得した野口啓代は、「大満足の2位とは言えないけど、大満足のクライミングでした」。
ボルダリングW杯、楢崎が2位 女子は野口が2位
決勝のコース(課題)は四つ。底力を示したのは、三つ目だ。制限時間は4分あったが、スタート位置から次のホールド(突起物)を取りに行く最初の動きに苦戦し、気づけば残り20秒。「完登できるか分からなかったけど、1手目だけでもいいと思った」。勝負をかけた6度目のトライで成功。「登ることしか頭になかったので、その先はあまり覚えていないんです」。夢中でゴールした時、残り時間は1秒だった。
W杯総合優勝4度の実績を持つ野口は、ボルダリングが今よりずっとマイナーだった時代をよく知っている。だから、会場を埋めた2340人の大観衆がうれしかった。4課題を全て完登し、「最高。自分の登りを見てほしいってずっと思っていた」。歓声の真ん中で、笑顔がはじけた。(吉永岳央)
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男子3位の渡部 第3戦に続く優勝はならず。「連続で優勝できるほどW杯は甘くない。その洗礼を受けられたのは収穫」
女子3位の野中 「緊張したけど、しっかりと自分の良さは出せた。悔しい思いもあるけど、そこには満足しています」