耳の長い飾り毛と歌舞伎のメイクをしたような顔立ちが特徴のアカカワイノシシ=竹谷俊之撮影
■360度動画「いきもの目線」
歌舞伎役者が化粧をしたような端正な顔立ち。背中の白いたてがみが特徴で、映画「もののけ姫」に登場する白イノシシの乙事主(おっことぬし)を連想させる。
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風が冷たい1月末、よこはま動物園ズーラシア(横浜市旭区)で飼育されている4頭のアカカワイノシシのうち、3頭のオスの360度撮影をした。
実は昨年、2度の撮影に失敗している。カメラに近づくのはいつも1頭だけ。飼育員の鈴木志穂さん(23)によると、アカカワイノシシは群れで生活するため、順位争いがあり、強い個体がエサを独り占めするという。せっかくの360度撮影。2頭でもいいから、カメラの周りにくるようにエサで誘導できないものか。
鈴木さんと作戦を練った。バックヤードから出て約5メートルの場所にカメラを設置。一気にカメラに近づかないよう、手前にニンジンやリンゴを離してまいた。結果は……1、2回目は1頭ずつしか来なかったが、3度目の撮影でほんの数分間、2頭がカメラに近づく様子が撮影できた。
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アカカワイノシシは中部アフリカの森林や水辺近くにすむ。小型のイノシシで、オスの体重は60~80キロ。体は赤茶色をした毛で覆われ、耳先の長い飾り毛と、背中の白いたてがみが特徴。背中の毛は興奮すると逆立つという。オスの顔には左右にイボがある。(竹谷俊之)