インタビューに答えるクリスティーン・ブライデンさん(左)と、夫のポールさん=京都市、森本美紀撮影
4月29日まで京都市で開かれた国際アルツハイマー病協会国際会議(認知症国際会議)には、22年間にわたり認知症とともに生きるオーストラリアのクリスティーン・ブライデンさん(68)も参加しました。13年前に同じ会場であった国際会議で本人活動の重要性を訴えたブライデンさんに、いまの日本の状況はどう映ったのでしょうか。今回の会議後に聞きました。(聞き手・友野賀世)
特集:認知症とは
特集:認知症の国際会議
介護とわたしたち
■認知症に見えない?腹立たしい
認知症の人に何よりも申し上げたいのは、あなたはひとりの人間だということです。認知症であるという事実は、あなたのほんの小さな一部でしかありません。散歩したり出かけたり、とにかくその日1日を楽しみましょうよ。
私は認知症になって、全く記憶がない状況でも生きるすべを学びました。「いま、この瞬間を喜びをもって生きる」ということです。認知症にならなければ、気づかなかったと思います。そして、たとえ症状が進んでも私は私であり続けます。妻、母親、祖母であり、良き友人でありたい私。すべて「私」です。
認知症でないみなさんに理解してほしいのは、認知症は目に見えないということです。私は「全然認知症に見えないわ」と言われると腹立たしい。苦労を認識してもらえていないと感じるからです。
たとえば、駅などざわざわしたところでは、すぐ疲れてしまう。突然ドアが開いたり、急に何かが光ったりすると、どうしていいかわからなくなる。言葉がなかなか出てこない認知症の人たちを助ける意味でも、そうした苦労があることを理解してほしい。
認知症の人に寄り添っているみなさんには、本人がその瞬間を楽しく生きられるように支え、励ましてほしい。ふさわしい支援は人それぞれですが、私が不安になっていると夫のポールは「猫をひざにのせて少し休んだら」と助言してくれます。
ゴルフが好きな人にはゴルフを楽しめるように、生け花が好きな人にはきれいに花を生けられるように手助けしてほしいですね。
ちゃんとした支援があれば、日本にたくさんいる認知症の人たちは幸せな生活を送ることができるのですから。
■「日本の先進性、目を向けて」
今回の来日で最も心を動かされたのは、日本認知症ワーキンググループ(JDWG=認知症の本人でつくる団体)のメンバーとの出会いです。
13年前の国際会議で、私は「…