火災のあったアパートで消防隊員らが現場検証にあたった=9日午前11時4分、北九州市小倉北区清水2丁目、日吉健吾撮影
6人が死亡した北九州市小倉北区のアパート「中村荘」の火災から2日目の朝。警察などの検証が続く現場付近では花束が供えられた。今も遺体の身元が判明しないなか、かつて中村荘に入居していた人や、入居者を支援してきたNPO法人の関係者らは心配を募らせている。
犠牲の6人、大半が逃げ遅れか 北九州アパート火災
降りかかる火の粉「中に人が」 北九州の6人死亡火災
中村荘では午前10時過ぎ、警察や消防が現場検証を再開した。焼け落ちた木材や衣類などを敷地外に運び出し、一つずつ確認作業を進めた。中村荘を1棟ごと借りている不動産会社の社員も立ち会った。近くの駐車場の隅にはペットボトルのお茶と菊の花束が供えられ、近所の人が心配そうな表情で見守った。
午前11時過ぎには、3月上旬まで約1カ月間、中村荘に住んでいた石川隆さん(64)が現場を訪れた。入居者の出入りが激しく、互いに声をかけることは少なかったが、入居する際にある男性が道案内をしてくれた。その人のことが特に気にかかっているという。この日の朝も市内の病院を訪ねたが、安否の確認は出来なかった。「どうなったのかが心配。何とか無事でいてほしい」と話した。
路上生活者らを支援するNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の山田耕司常務によると、支援にかかわった入居者3人のうち1人と今も連絡がつかない。山田さんは「3月から入居し、今月か来月にも中村荘を出て(別の)アパートに入居出来ればと、我々のスタッフとも話をしていたのに」と語った。