体育館を訪れる人に声を掛ける森川浩爾さん(右)。この日、体育館では卓球の大会が開かれていた=大阪市東淀川区
大阪のとある体育館を訪れるスポーツ愛好者たちを、競技、年齢を問わずとにかく応援しまくる、名物のおっちゃんがいる。SNS上では、声援を受けた人たちが、驚きやうれしさを伝えている。
4月下旬の土曜日。大阪市立東淀川体育館(大阪市東淀川区)前の道路におっちゃんはいた。阪神タイガースの帽子をかぶり、応援メッセージを手書きしたボードを手に、「ファイトー!」と声を掛けると、周囲は笑いに包まれた。
おっちゃんは、すぐそばの角地にあるコンビニ店「ローソン新大阪東店」の店長の父、森川浩爾(こうじ)さん(73)。店舗前には、選手を応援するメッセージ看板もある。これも、森川さんの手作りだ。
元銀行マンの森川さんは、退職後、妻の実家がある山口県で暮らしていた。10年ほど前、長男政浩さん(38)が同店の店長になると、「応援してやる」と、単身で大阪に移り住んだ。
新大阪駅から徒歩10分ほどの場所にある同店は、体育館から近いが、大通りから少し外れている。森川さんは、集客に苦戦するのでは、と店を認識してもらうため、店頭で通行人にあいさつを始めた。
しばらくして、店の「お得意様」でもある体育館利用者のために、施設内にゴミ箱を設置し、管理するようになった。施設内外に放置されるゴミの対策に頭を悩ませていた体育館に協力する形となった。
だが、ゴミ箱には他店のゴミが入っていることも。「悔しかった」という森川さんが、店の存在をアピールするために始めたのが、選手の応援だった。バスケットボールや卓球の大会など、イベント開催時は必ず、朝から店の前で、選手を応援するようになった。
銀行マン時代に大切にしていた…