8日午後7時5分ごろ、愛媛県今治市大西町の松山刑務所大井造船作業場から「受刑者がいなくなった」と110番通報があった。作業場の防犯カメラに姿が映り、同じ時間帯に近くの民家から車が盗まれて広島県内で見つかったことなどから、愛媛県警は受刑者が車で逃走した可能性があるとみて、単純逃走の疑いで捜査している。
行方が分からなくなったのは、窃盗罪などで有罪になった平尾龍磨受刑者(27)。県警や同刑務所によると、同日午後6時前の夕食時には姿を見せたが、午後7時からの集会には参加せず、捜したが見つからなかった。午後6時10分ごろには、作業場の防犯カメラに外にいる平尾受刑者が映っていたという。
同日午後7時過ぎには今治市大西町の民家が空き巣被害に遭って駐車していた車が1台盗まれたことが判明。車は約1時間20分後、今治市と瀬戸内しまなみ海道でつながる広島県尾道市・向島の駐車場で見つかった。愛媛、広島両県警が合同で行方を捜査している。
同刑務所によると、平尾受刑者は2015年から服役し、17年に同作業場に移ってきた。この作業場は塀や施錠などがないことから「塀のない刑務所」として知られ、全国から選ばれた模範的な受刑者が現在約20人収容されているという。(藤井宏太、寺田実穂子)