オーストリアのケルン首相は14日、今秋にも前倒し総選挙が行われるとの見通しを明らかにした。大連立を組むケルン氏の中道左派・社会民主党と中道右派・国民党の2大政党間の亀裂が理由。世論調査では、移民規制や「オーストリア第一」を訴える右翼・自由党が支持率首位を維持しており、選挙に突入すれば政権の行方は混沌(こんとん)としそうだ。
ケルン氏は公共放送のインタビューで国民党側で表面化した連立解消の動きを批判し、「間違いなく総選挙になる。この秋を想定している」と語った。
議会解散には国民議会(下院)の過半数の賛成が必要で、社民、国民両党が賛成すれば成立する。総選挙は比例代表制で、現状ではどの党も単独過半数は困難な見通し。2大政党が再度大連立で合意できない場合、自由党の政権参加が現実味を帯びる。
オーストリアでは政治の実権は内閣にあるが、昨年の大統領選では社民、国民党の2大政党の候補がともに第1回投票で惨敗。決選投票で親欧州連合(EU)のリベラル派が当選したものの、自由党候補もあと一歩に迫り、欧州各国の右翼政党を勢いづけた。
現在の連立政権は発足当初から…