LGBTをめぐる国内外の動き
五輪・パラリンピックは性的指向を含め、いかなる差別も禁じた五輪憲章の根本原則に沿い、多様性を認め合うことを基本理念の一つに掲げる。3年後に迫った東京大会でも、大会組織委員会はまずは自らの組織内のLGBTなど性的少数者への意識を高めようと動き始めた。17日は国際的な記念日「多様な性にYESの日」。自分と違った人を除外しない――。明確なメッセージを五輪を契機に発信する。
「カミングアウトしやすい雰囲気づくりには、どうすればいいのでしょうか」
4月中旬、組織委の役員会議室。性的少数者への理解を深める幹部向けの研修会で、局長の一人がLGBT当事者である講師に質問した。2014年のリオデジャネイロ五輪では金メダリストを含む50人以上の選手がカミングアウトしたといい、講師は「その姿は人と違うことで苦しむ子どもの希望となった。(日本でも)立場のある人が理解を深め、当事者の存在を前提に物事を進めていくだけで雰囲気づくりになる」と答えた。
東京大会では、開催に必要な物品・サービスの調達基準や運用方法などを定めた「調達コード」に、LGBTなどを含めた「社会的少数者の権利尊重」の項目を記載。これにより調達先の企業は組織委が定める基準に沿う必要があり、同性婚にも適用される人事制度を整備する企業が増えるのでは、と期待を寄せる。
もちろん大会本番でのトイレやホテルでの配慮なども欠かせない。組織委の吉村美貴子人事部長は「五輪は日本が本当の多様性を知り、経験するきっかけになる。LGBTについて理解ある人たちの人的レガシーも育みたい」と話す。
LGBT理解への機運が高まる…