玉鷲(左)は押し出しで高安を破る=遠藤啓生撮影
(19日、大相撲夏場所6日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
稀勢の里が4勝目 高安は連勝ストップ 夏場所6日目
関脇対決に勝った玉鷲はしてやったりの笑顔で言った。「気持ちいいですね、全勝を止めるのは」。大関とりの高安が惨敗。初日からの連勝が止まった。
立ち合いがすべてだった。右で鋭く踏み込み、頭から突っ込んできた玉鷲。高安はその場で体を起こしただけ。右胸に頭をぶつけられ、右のかちあげも不発。上半身を後ろに反らされ、一瞬で押し出された。足を自分の仕切り線より前にすら出せない、屈辱的とも言える負け方だった。
支度部屋の風呂から出てきた高安の表情は穏やかだった。だが、何を問われても無言を貫いた。
八角理事長(元横綱北勝海)は、高安の弱点をこう指摘した。「立ち合いを失敗したときに残るアレが、まだない」。しかし、この日は、失敗どころのレベルではなかった。
朝、稽古を終えた高安は玉鷲戦について「攻めの厳しい相手にこそ、攻めていくのが大事。負けてもともと、チャレンジャーの気持ちでいく」と語っていたが、まるで体現できなかった。過去6勝6敗の対戦成績が、高安の頭を雑念だらけにしたのかもしれない。
12勝3敗だった先場所は、初日から10連勝のあと3連敗。その間、この日と同じく支度部屋で黙りこんだ。大関昇進の目安となる「直近3場所を三役で計33勝」まで、あと5勝。立ち合いに自信を深め始めていた矢先だけに、尾を引かないとも言えない1敗だ。(篠原大輔)
○宇良 逸ノ城の巨体を肩すかしで転がす。大きい相手に勝つと歓声もひときわ大きいですねと問われ、「それは自分は分からない。好みの問題です」。
○日馬富士 持ち前の低く鋭い立ち合いで碧山を圧倒。通算800勝目に、「一日一番、全身全霊です」。
○稀勢の里 調子は上がってきたか、との質問に「うん」。不安を抱える左腕の状態については「どうなんでしょう」。
●遠藤 白鵬の激しい張り手を受け、胸に真っ赤なひっかき傷。質問には無言を貫いた。
●幕下の豊ノ島 33歳の元関脇は3連敗。勝ち越しを狙うには後がない。報道陣に「そろそろ(引退)だと思っているでしょ。あと5年やるつもりですから」。
○嘉風 過去4勝20敗の琴奨菊を肩すかしで破る。「どうせ負けるだろうなと開き直った。(動きは)いいと思いますね」
○豪栄道 豪快な下手投げで御嶽海を仕留めて3連勝。序盤の2連敗から立て直し、「順調に来ていると思います」。
○白鵬 トップが日馬富士との2横綱に。「当然でしょう」と涼しい表情。