築地市場の移転問題について検討している東京都の「市場のあり方戦略本部」は10日、流通業者らからのヒアリングを始めた。業者側からは「卸売市場を通す流通量は減っている」などの指摘があった。小池百合子都知事は、ヒアリング結果などを参考に戦略本部がまとめる報告書を受け、豊洲移転の可否を判断する。
特集:豊洲移転問題
小池知事は、豊洲市場の規模が適正かどうかも検証の必要があるとしており、流通業界の意見も一つの判断材料にする方針。
この日はイオンリテールやマルエツなど大手スーパーの担当者ら5人から、小池知事や都幹部らが意見を聞いた。首都圏で約300店を展開するマルエツの担当者は卸売市場経由で仕入れる割合は「青果は50%、魚は20%」で、減少傾向だと説明。「市場外流通もミックスしている」と話した。イオンリテールの担当者は「生鮮魚は市場(経由)が60%、農産物は40%。水産物は築地が中心で、集荷力や安定供給を活用している」としつつ、「スピードを重視するため我々(独自)の物流(ルート)も持っている」と説明した。
都幹部でつくる戦略本部は今後、生産者や消費者団体、物流業者からも意見を聞き取り、豊洲市場の安全性を検証中の専門家の指摘も踏まえて報告書をまとめる。(小林恵士、別宮潤一)