昨年の祇園祭前祭の山鉾巡行の様子。四条通を多くの見物客が埋めた=2016年7月17日、京都市下京区
京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)行事を行う祇園祭山鉾連合会(京都市中京区)は8日、インターネットで出資者を募るクラウドファンディングを初めて活用すると発表した。祭りの警備費や保険料の一部を調達する。
「サイバーエージェント・クラウドファンディング」(東京)のサイト「Makuake(マクアケ)」で同日、募集を始めた。目標額は300万円。出資者は3千円から10万円(いずれも税込み)までの5コースから選ぶ。厄よけのちまきや関係者にしか配られない扇子がもらえるなど、額に応じた特典がある。
今回、サイバー社と提携する京都信用金庫がクラウドファンディングを使った資金調達の仕組みを連合会に紹介し、このプロジェクトが実現した。
連合会によると、山鉾巡行(前祭〈さきまつり〉=7月17日、後祭〈あとまつり〉=同24日)と、各3日の宵山期間中は、警察のほか、独自に警備会社に雑踏警戒を依頼している。また、見物客が事故で負傷した時などに備えて賠償責任保険に加入。2014年に後祭を復活させたこともあり、こうした運営費が昨年は約4千万円に達した。行政の補助や山や鉾を出す町の支出だけで負担することが難しくなっていたという。
会見した連合会の岸本吉博理事長はクラウドファンディングの活用について、兵庫・明石歩道橋事故や京都・福知山の花火大会での爆発事故などに触れ、「安全、安心の確保には、大きなコストがかかる現状を広く知ってもらう狙いもある」と話した。(佐藤秀男)