教材発注を伝えるエクセルの流れ
今年度の道徳の授業で使う教材「私たちの道徳」約2万冊が発注漏れで埼玉県北部の115小中学校に届かなかった問題で、県外でも同じミスがあったことが文部科学省への取材で分かった。ミスは毎年のようにあるが、やり方は見直されず、今回の発注漏れにもつながっていた。
道徳教材、2万部配布できず 県「発注記載ミス」
届かなかった約2万冊は、19日に県北部7市町の小中学校に届く予定だ。
道徳の教材をめぐっては、文科省教育課程課などによると、2015年3月に愛知県一宮市の小学校特別支援学級の児童分約260冊、翌16年3月には広島県廿日市市の小学1年生の女子児童分約360冊の発注漏れがあった。
今年3月末も、福岡県の58市町村の中学校228校分の約2万8千冊の発注漏れが判明した。文科省はあわてて出版社に教材を追加発注し、4月中に届いたという。
一般の「教科書」は、各学校が地域の取扱店に直接発注する。それと異なり、教材は都道府県から必要部数の伝達を受けた文科省が教材の出版社に一括発注する仕組みだ。
この発注方法は小学5、6年で使う英語の教材「Hi,friends!」も同じ。だが、道徳の教材は同省教育課程課、英語の教材は同省国際教育課と「縦割り」のなかで必要部数を集約する。両課で受注数を付き合わせるようなことはないという。
同省への発注方法は、各学校や市町村教育委員会がエクセルファイルにまとめた必要部数をメールして、それぞれの段階でコピーアンドペーストして伝える「伝言ゲーム」のようだ。
その結果、埼玉の場合、北部教育事務所管内の7市町分をコピペし忘れたままエクセルのデータが文科省に送られた。
文科省は全国分の道徳約520万冊、英語約240万冊を取りまとめて出版社に発注する。同省は「前年度の部数と比較するなどして確認をしている」(教育課程課)というが、発注漏れを繰り返してきた。
同省による全国一括の受発注の…