拉致被害者の蓮池薫さん=新潟県柏崎市、角野貴之撮影
北朝鮮の核やミサイルをめぐる緊張状態が続く中、韓国では北朝鮮との対話路線を主張する文在寅(ムンジェイン)氏が大統領に就任した。結成20年になる拉致被害者家族会が「年内解決」を求める中、現在の状況をどう見ているのか、今後の日朝関係はどうあるべきか。日本がやるべきことは何か。拉致被害者の蓮池薫さんに聞いた。
――北朝鮮の核やミサイルをめぐり国際的な緊張が続いています。北朝鮮の国民は、恐怖や不安を感じていると思いますか。
「いえ、それほど危機感は強くないと思います。北朝鮮で核やミサイルの開発が進み、当局はいま『米国が爆撃すれば核で応える』と宣伝や思想教育をしているはずです。国民も『核抑止力があるから下手に攻撃はしてこないだろう』と思っていることでしょう」
――米朝の緊張が高まった1993~94年、北朝鮮で戦争に巻き込まれる恐怖を感じたと、著書「拉致と決断」に書いています。
「核開発が進んでいなかった90年代は、米軍による空爆など、通常兵器による戦争が起きるという現実的な危機感がありました。私も決して顔には出さないようにしていましたが、戦争で子どもと生き別れたらどうするのか、心配でなりませんでした」
「今年は、近年に比べても緊張…