東京都豊島区は24日、認可保育施設に入れなかった「待機児童」が今年4月1日時点でゼロになったと発表した。新たな施設を整備するなどして定員を増やし、前年の同時期に105人いたのを解消した。東京23区内ではここ数年、待機児童ゼロを達成していたのは千代田区のみだった。
豊島区では保育需要が伸びており、認可保育施設へ通うことを望む子どもの数がここ3年間で1186人増加。一方、この間に認可保育所と小規模保育所を新たに計35園整備するなどして定員を2028人分増やした。4月1日時点の待機児童数は、2014年度が240人、15年度が209人、16年度が105人と徐々に減らしていた。
待機児童をめぐっては、自治体によって保護者が育休中であれば含めないなどカウント方法にばらつきがあったため、厚生労働省が今年3月、育休中は原則含めるなどとした基準を各自治体に周知。今回の区の発表は、新基準に基づく。
本来は利用できる施設に通わないなど、国の基準に入らない「隠れ待機児童」は135人と、前年同期の231人から減らした。
今年度中を目標としていたゼロ達成が1年早まった。高野之夫区長は会見で「良質な保育環境を確保するため、施設への指導をさらに強化する」と話した。
区は今後も保育需要が伸びるとみており、今年度中に認可保育所を最低でも13園(定員780人分)新設する方針。
また、園庭がない私立認可保育施設の子どもたちの外遊びの場を増やすため、区内の2小学校の校庭を月1回程度、開放する試みを今月末から始める。専用園庭のない私立認可保育施設は57園にのぼるという。
都によると、昨年4月1日時点の都内の待機児童数は8466人。うち23区が5598人を占め、世田谷区が1198人と突出。江戸川区397人、板橋区376人、渋谷区315人と続いた。千代田区は唯一のゼロで、豊島区は少ない方から5番目だった。(酒本友紀子)