京都府は、性同一性障害(GID)の人が飲食店などを営む際、店内に掲げる営業許可書類に通称名を使うのを認めることにした。GIDで女性として暮らす府内の50代の経営者から、「普段使っている名前を記載したい」と相談を受け、規則を改めた。
厚生労働省は「他の自治体で認めた例は把握していない」としている。施行は5月12日付。京都市以外の府内の飲食店などで適用される。
食品衛生法は飲食店などを営む際、営業許可証を店内に掲示するよう義務づけており、許可証には通常、戸籍上の名前が記載される。この経営者は2012年にGIDと診断され、14年春に性別適合手術を受けた。昨年秋、「日常的に男性名が店内にさらされ、精神的な苦痛を感じる」と最寄りの保健所に相談した。
府が検討し、医師の診断書などでGIDと認められれば、営業許可証の代わりに「営業許可証明書」を発行し、そこで通称名を使えるようにした。この経営者は「これを機に、飲食業以外で営業許可が必要な職種でも通称名が使えるようになれば、同じ生きづらさを抱えた多くの人が救われると思う」と話している。