ページがちぎられてしまったマンガ本=石川県白山市古城町の市立松任図書館
全国各地の図書館で学校史の一部が切り取られる被害の発覚が相次いだが、貸し出し中に破られるなどした本の冊数が年間約100冊にのぼる石川県白山市立松任図書館(同市古城町)では実態を知ってもらおうと、館内に展示コーナーを設けている。「マナーアップキャンペーン」として、30日まで公開している。
同館でも学校史4冊に切り取りが見つかったが、ほかにも多くの本が被害を受けており、破損本の被害額は年間約15万~20万円にのぼるという。今回展示したのは14冊。ページをまとめて切られたり、鉛筆や蛍光ペンで書き込みをされたりするほか、液体をこぼしてカビがはえてしまった無残な本もある。
「新刊、古本に関係なく、ジャンルも多岐にわたる。気に入ったページがあったらコピーをとってほしい」と、同館でカウンターに立つ司書は悲しい顔で話す。修理できる場合は補強テープなどを使って補うが、傷みが激しく修復不能な場合は利用者に弁償を求めている。
ほかにも、貸し出し手続きをせずに無断で持ち出されたままとみられる本の数もおびただしい。2010年度は850冊にのぼり、対策として館内に防犯カメラ10台を設け、防犯ステッカーを貼り、職員の巡回を強化。それでも16年度も324冊が不明となった。
持ち出されたままの本の多くは身近な生活に関わる本や文学の本が多いという。中村久昭館長は「図書館は誰もが自由に使える地域の情報拠点。こちらが徹底して管理することは限界がある。利用者みんながマナーを守って」と訴える。
問い合わせは松任図書館(076・274・9877)。(須藤佳代子)