6年ぶりの優勝を逃した藤田さいき
28日、奈良・オークモントGCで最終ラウンドがあった女子ゴルフのリゾートトラストレディスで、31歳の藤田さいきがプレーオフの末、6年ぶりの優勝を逃した。藤田はハキハキと、明るく試合を振り返った。
1打差で首位に立っていた最終18番でパーパットを外したために2人に追いつかれた。2メートルほどの距離だったが、「ラインを読み間違えた。優勝のプレッシャーなどではありません。最初はベスト10に入ればいいと思っていたくらい」と笑った。
26日に引退を表明した宮里藍とは同学年。「彼女の活躍に引っ張られていた」と振り返る。2006年に20歳でツアー初優勝を果たすなど、一時は世代を代表する一人と目されていた。11年までに5勝。ただ、そこから次の1勝が遠くなった。
苦手だったパターの「イップス」に苦しんでいた。練習嫌いだったが、知り合いのアドバイスを受けながら、体のバランスを工夫するなど、「とにかく繰り返してやれることをやりました」。改善されたことが、今大会の好成績につながった。「開き直って打つ、なんて思うことは絶対にありませんでした。悩んで、悩み抜いて脱するんです」
ただ結果が出ず、ゴルフは嫌いにはならなかったか。「全くない。奥深さを知って、前よりも好きになった」。さらりと語った。
宮里は今季限りで現役を退くことを決めたが、自身の選手人生はこれからだと思っている。「体も大きく(168センチ)、距離もこの年齢にしては飛ぶ。パットがようやく人並みになってきた」
最後まで笑顔で答えたが、報道陣の輪が解けた後だった。歩み寄ってきた旧知の樋口久子・日本女子プロ協会相談役に「期待していたのに、パット外すんだもの」と強く抱きしめられた。目から涙があふれ出ていた。これまでの思いが垣間見えた。(有田憲一)