母校ハーバード大学の卒業式でスピーチする「フェイスブック」最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグ氏=25日午後、マサチューセッツ州ケンブリッジ、金成隆一撮影
米ハーバード大の最も著名な「ドロップアウト」(中退者)と呼ばれたフェイスブック最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグ氏(33)が25日、母校の卒業式に出席、卒業生に「パーパス(目標、存在意義)」をテーマに演説した。名誉博士号も受け取った。
「皆さんが自分自身の存在意義を見いだすだけでは不十分。我々の世代に大切なのは、全ての人が存在意義を持てる世界にすること」。ザッカーバーグ氏は自分より大きなものの一端を担っているという意識や、誰かに必要とされることが人生には重要だと説いた。
人々は自らの存在意義を職場や教会、地域社会とのつながりの中に見いだしてきたと指摘。「今は最新技術や自動化が雇用を奪い、地域社会の絆も弱まっている」と述べた。誰もが生きがいを持てる社会にすることが、21世紀に成人を迎えるミレニアル世代の「決定的な仕事」だと訴えた。
フェイスブックの原型を在学中に作った体験を元に「アイデアというのは完成型で思いつくものではなく、やっているうちにクリアに見えてくる。まず始めないといけない」と挑戦する必要性を強調した。
知り合いの不法滞在の高校生が強制送還におびえ、展望を描けないでいることを紹介した時には、声が震え、涙ぐむ場面もあった。式は野外で行われ、大雨の中、雨がっぱを着た妻のプリシラさんが最前列で見守っていた。(米マサチューセッツ州ケンブリッジ=金成隆一)