路面電車を運転する木村麗奈さん=愛媛県松山市
伊予鉄道(松山市)に30日、戦後初となる女性運転士が2人誕生した。一緒に訓練を重ね、路面電車の運転に必要な国家資格を取得した森岡珠南(じゅな)さん(27)と木村麗奈(りな)さん(22)。この日に辞令を受け、今後は松山市内を走る路面電車(市内電車)で乗務する予定。
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同社は2015年に女性乗務員の採用を始め、同年に入社した森岡さんと木村さんら女性4人は郊外電車の車掌として勤務してきた。同社は採用当初から女性運転士の養成を見込んでおり、この4人の中から森岡さんと木村さんが運転士に立候補したという。
2人は2月から社内で訓練などを積み、今月下旬に路面電車の運転資格を取得した。この日の辞令式で清水一郎社長は「温かいサービスでお客様をおもてなししてほしい」と激励。森岡さんは「地域の方に笑顔になってもらえるような接客をしたい」と意気込んだ。
辞令式の後、木村さんは松山市駅から路面電車の運転席に乗り込み、隣でベテラン運転手が見守る中、緊張した面持ちでハンドルを握った。車内アナウンスや運賃の受け取りも1人でこなし、約20分後に終点の道後温泉駅に到着。乗客からは「これから頑張ってね」などとねぎらわれていた。
木村さんは「観光客や地域の人と関われるので運転士になりたかった」と振り返る。初めての運転を終えて、「右折車が多くブレーキをかけるのが難しかった。お客様に良い印象を持ってもらえるように丁寧な運転をしたい」と話した。
2人を指導した同社の西岡大成主任教師は「責任感を持って安全運転に努めてほしい」と期待を込めた。同社によると、2人は早ければ6月中に付き添いなしで運転を始めるという。(藤井宏太)