国連安全保障理事会は2日(日本時間3日未明)、弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に対して資産凍結や渡航禁止の制裁対象を拡大する決議を全会一致で採択した。北朝鮮と関係が深く、対話による解決を強調する中国も賛成に回ったことで、国際社会の一定の厳しい立場を示した。
決議は米国が提出したもので、弾道ミサイル発射を含めた北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの開発を「最も強い言葉」で非難。北朝鮮の政府や軍の高官ら14人と4機関をこれまでの安保理決議に基づく制裁の対象に含めた。安保理の北朝鮮制裁委員会によると、1日時点で39個人と42機関が制裁の対象となっていた。
フランスのデラットル国連大使は会合前、記者団に対し、「決議は(ミサイル発射などの)振る舞いに対する対応というだけではなく、北朝鮮に対する警告でもある」と強調。同大使は北朝鮮は発射を繰り返すたびに核兵器の実戦使用能力を高めていると危機感を示し、「北朝鮮が危険な道を歩み続けるのであれば、我々は圧力をどんどん強化せざるを得ない」と述べた。
ただ、今回の決議は制裁の中身を強化する内容ではなく、これまでの制裁を適用する対象を広げたにとどまる。「対話を通じてのみ解決出来る」(劉結一・国連大使)との立場を取る中国が制裁強化に慎重なためと見られ、各国が「決議採択」という形式を取るために中身では妥協した可能性がある。(ニューヨーク=鵜飼啓)