欧州評議会の議員会議は25日、トルコの民主主義の状態について「深刻な懸念」を示し、監視を強化する決議を採択した。トルコ側は猛反発している。欧州側は、トルコの憲法改正の是非を問う国民投票で賛成過半数で改憲が確実となったことで、エルドアン大統領が独裁化することを危惧している。両者のさらなる関係悪化が懸念される。
欧州評議会は欧州連合(EU)加盟国を中心に、トルコを含む47カ国が加盟。加盟国の国会議員で構成する議員会議が25日に採択した決議では、トルコの民主主義、人権の尊重、法の支配について「深刻な懸念」が解決されるまで、同国をこれまでより厳しく監視するとしている。
決議では、トルコで昨夏のクーデター未遂事件後に出された非常事態宣言により、多数の政治家やジャーナリストが現在も拘束されていることも問題視。さらに国民投票についても、反対派に対して、賛成派と平等な運動機会が与えられなかったと批判した。
これに対し、エルドアン大統領は25日、ロイター通信のインタビューで「決議は完全に政治的なもの」と非難。その上で「欧州ではイスラム恐怖症がひどくなっている。欧州連合が誠意を持って動かないのなら、我々は出口を探さなければならない」と話し、停滞するEU加盟交渉の打ち切りを問う国民投票を実施する可能性について改めて言及した。(イスタンブール=其山史晃)