小型機が消息を絶った現場付近=3日午後6時50分、富山県立山町、朝日新聞社ヘリから、安冨良弘撮影
悪天候の北アルプスへ、なぜ飛び立ったのか。富山県立山町の山中で、4人乗りの小型機が墜落したとみられる事故。視界が悪く、現場を確認できないまま、3日の捜索は打ち切られた。
4人乗り飛行機が墜落 2人意識不明の情報 富山・立山
「雪の中で動けない。前に乗っていた2人は意識がない。声をかけても反応がない」
3日午後2時51分、河西勝基(かさいかつき)さんを名乗る男性の携帯電話から、小型機を所有する新中央航空の松本運航所(長野県松本市)に連絡が入った。墜落した小型機からだと話したという。
小型機には食料や水は積んでいなかった。松本運航所には搭乗者の家族が集まり、状況について説明。西野厚所長(59)は「今はただひたすら、命が助かっているように願っている」と話した。
立山町消防本部によると、墜落したとみられる現場は歩いて行けるような場所ではないという。現場近くの立山ロープウェイ「大観峰(だいかんぼう)駅」の駅員は「周囲を見渡したが、ガスがひどくて様子が分からない」と話していたという。
大観峰駅から2キロ離れた「一(いち)の越(こし)山荘」(標高2705メートル)の鈴木松男さん(66)は朝日新聞の取材に「6月には珍しく吹雪だった。午前中は天気がよかったが、午後は突風も吹いていた。こんな天候の悪い中、どうして飛んでいたのか」と驚いた様子で答えた。ひざ近くまで雪が積もっている所もあり、午後からは30メートル先ほどしか見えない状態だったという。
大観峰駅から北西に約3キロの…