パソコンの画面越しに面談をする企業の人事担当者と大学生=5月下旬、東京都新宿区
来年春に卒業する、大学生向けの採用選考が今月から本格的に始まった。人工知能(AI)の活用が広まるなか、採用で使う企業も増えている。採用にかかる時間や人手を減らすことができ、学生にとっても交通費や宿泊費の負担を抑えられる利点がある。ただ、「最後は人が判断した方がいい」という声も根強い。
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「就職活動はいつ始めましたか?」
「去年の12月から自己分析を始め、2月ごろからOB訪問をしました」
5月下旬、都内のオフィスの一室に人事担当者と大学生の声が響いた。ただ、部屋に学生の姿はない。会話は、パソコンを通じて行われていた。
画面越しで話していたのは、福岡市の大学4年、川越里奈さん(21)。ネット広告大手のセプテーニ・ホールディングス(東京都)が、地方学生向けに今年から始めた「オンライン・リクルーティング」に応募し、自宅にいながら面談を受けていた。同社は最終の役員面接もオンライン上で実施し、社員と会わずに採用まで決まる制度がある。
経団連の指針では、採用面接などの「解禁」は6月1日だが、その前から選考を始める企業も多い。川越さんはこれまで東京との間を5~6回往復し、交通費だけで約15万円はかかったという。「就職活動には、お金も時間もかかる。この方法なら自宅からの移動時間はゼロ秒だからとてもいい」
セプテーニがこうした採用を取…