伊藤忠商事の岡藤正広社長=5日、東京都内
伊藤忠商事の岡藤正広社長は5日、朝日新聞の取材に応じ、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)と連携してコンビニのファミリーマートで使える新ポイントカードの導入や金融事業への参入を検討していることを明らかにした。早ければ今年度内にも、具体的な事業内容を固めたい考えだ。
ファミマとサークルKサンクス、統合後Tポイントに統一
伊藤忠は、ユニー・ファミマHD株を約37%取得する筆頭株主。岡藤氏は「今でこそコンビニは流通の横綱だが、ゆくゆくは横綱ではなくなる。今から手を打つ必要がある」と指摘。「ATM(現金自動出入機)もポイントも(利益の)流出がすごい。我々が提供したものは我々が利益を受け取るようにする」と話した。
ファミマは現在、TSUTAYA(ツタヤ)系のポイントサービス「Tポイント」を採用している。ATMもイーネットやゆうちょ銀行などのものを置く。ファミマがこうした事業を外部に頼ってきたことについて、岡藤氏は「今のままではいけない。一番良い方法をファミマと一緒に考えたい」と語った。事業化する時期は関係企業と調整するとしたうえで、「早ければ早いほどいい。1年ぐらいでめどをつけなければいけない」と話した。
先行するセブン&アイ・ホールディングスは「nanaco(ナナコ)」カードを普及させ、関連店舗でのポイント付与や決済業務を展開。子会社のセブン銀行も手数料収入などで今年2月期に501億円の営業利益を計上している。
また、岡藤氏は「働き方改革」の一環として、社員の出勤時間を早め、残業を減らす取り組みを進めている点に言及。「もうけたらいいという会社ではだめ。働いていることを誇りに思うような会社づくりをしていきたい」と話した。(鬼原民幸)