東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺調査で、同県検討委員会は5日、「経過観察」と判断した症例にがんが見つかっていないかを把握していく方針を決めた。県の調査で経過観察とされた事故当時4歳の男児が、その後、甲状腺がんと診断されていたことが市民団体の調査で判明したため。これまで、経過観察中はフォローアップの対象から外れていた。検討委員会の星北斗座長は「委員からは調査の信用に関わるとの意見もあった。今後は不可欠な情報として扱う」と話した。
福島原発事故当時4歳の男児、甲状腺がんと診断
また県は同日、甲状腺検査で今年1~3月に新たに7人ががんと診断され、計152人になったと発表した。検討委は「これまでのところ被曝(ひばく)の影響は考えにくい」としている。
甲状腺検査は、2011年秋から13年度までの1巡目(先行検査)、14~15年度の2巡目(本格調査)が終わり、16年度からは3巡目(本格調査の2回目)に入っている。
今年3月末現在、がんまたはがんの疑いがあるとされたのは191人。うち1巡目は116人、2巡目は71人、3巡目は4人だった。手術を受けたのは1巡目が102人。101人ががんと確定し、1人は良性腫瘍(しゅよう)だった。2巡目では49人、3巡目では2人が手術を受けてがんが確定した。
県は約3カ月おきに最新の検査結果を発表している。