日本パラ陸上選手権大会の走り幅跳び(T44クラス)で自己ベストを更新し、2位に入った成田緑夢選手=10日午前、東京・駒沢陸上競技場、竹谷俊之撮影
障害者陸上の日本パラ陸上選手権大会が10日、東京・駒沢陸上競技場で開幕し、パラスノーボードの日本代表でもある成田緑夢(ぐりむ)選手(23)が走り幅跳び(T44クラス)で2位に入った。成田選手は、スノーボードの元五輪代表、童夢さんと今井メロさんの弟。2018年の韓国・平昌、20年の東京と、夏冬のパラリンピック出場を目指す。
成田緑夢が優勝 障害者スノボW杯バンクドスラローム
(withnews)「五輪は当然」成田家の末っ子が障害者に…気付いたスポーツの意味
成田選手は最終6回目の跳躍で、足首が曲がらない左足をかばうように助走しながら、右足のジャンプで5メートル66を飛んだ。優勝選手の記録には3センチ及ばなかったが、自己新記録。「まだ経験は少ないけど、目標に向かって少しずつ挑戦していきたい」と話した。
父親の熱血指導で知られる「成田3きょうだい」の末っ子。2012年ロンドン五輪はトランポリン日本代表の最終選考に残り、13年3月はスキーハーフパイプの世界ジュニア大会で優勝。しかし、その1カ月後、トランポリンで着地に失敗し、左ひざから下の感覚を失った。
それでも父親の指導のもと、その年の冬に痛みに耐えながらスキーを履いた。「歩かれへんのに、挑戦する意味あんの?」。初めて父親と衝突した。
だが「できることはスポーツしかない」と、健常者のウェイクボードの大会に出場すると、1通のメッセージが届いた。「けがをしても頑張っている緑夢君に勇気をもらった」。障害のある人からだった。「僕がスポーツをすることで、誰かを励ませるかもしれない」。スポーツの意味を考えるようになった。
水泳やトライアスロンなどパラリンピック競技に片っ端から挑戦。父親まかせだったスポンサー探しも、自ら企業を回った。昨年11月、本格的にパラスノーボードを始め、今年3月のワールドカップ最終戦では、バンクドスラロームという種目で優勝。「障害のある人やけがで引退を迫られたスポーツ選手たちの夢や希望になりたい」と話す。(斉藤寛子)