寺田湧将さん(前列中央)と支援する仲間たち=東京都
誰もが気軽に「助けて(HELP)」と言ったり「後押し(PUSH)」したりできたら――。そんな思いを伝えたいと、車イスの青年が「HELPUSH(ヘルプッシュ)」と名付けた旅を始めた。道行く人に声をかけ、「後押し」してもらいながら、47都道府県をめざす。
「ちょっと車イスを押してもらえませんか?」。4月22日昼すぎ、東京都の国立競技場駅。渋谷区の会社員、寺田湧将(ゆうすけ)さん(27)がホワイトボードを掲げ、旅のスタートを切った。車イスには記録用のカメラなどを装着。早速通りかかった若いカップルが応じ、車イスを押し始めた。
寺田さんは脳性まひで生まれつき足に障害がある。自力でゆっくりと歩くことはでき、小学生の頃から野球にも打ち込んできた。だが大学の広いキャンパスに限界を感じ、20歳のころから車イスを使っている。
プロジェクトのきっかけは2年ほど前、都内のある駅での体験だ。改札を出て10メートルほど先に階段があった。手すりにつかまれば自力で階段を上ることができる。駅員に車イスを運んでくださいと頼むと、「その先は管轄外なので手伝えません」。仕方なく遠回りしてエレベーターを使った。
もやもやとした気持ちを友人にこぼすと、こう言われた。「道行く人に助けてもらえばよかったじゃん」
思いも寄らない言葉だった。自…