空席が目立つスタンド=10日午前、東京・駒沢陸上競技場、竹谷俊之撮影
障害者陸上の日本パラ陸上選手権第1日は10日、東京・駒沢陸上競技場で行われた。昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックのメダリストらを目当てに多くの報道陣が集まったが、メダリストによるビラ配りもむなしく、観客席には空席が目立った。
「観客が少ない。どうしたら集まりますか」。リオ大会の男子走り幅跳び(切断など)で銀メダル、400メートルリレーで銅メダルを獲得した山本篤(スズキ浜松AC)がため息をついた。
山本はこの日、走り幅跳びで追い風参考ながら、日本記録(6メートル62)に迫る6メートル38で優勝。世界選手権(7月、ロンドン)に向けて上々の仕上がりを見せたが、それ以上に観客の少なさが気になった。他にも、リオで女子400メートル(切断など)銅メダルの辻沙絵(日体大大学院)が200メートルに出場するなど、日本のトップ選手が出場した。
この日は梅雨の中の晴れ間で、報道が55社約240人だった一方で、入場者数は約1300人。日本パラ陸上競技連盟の三井利仁理事長は「昨年の鳥取大会で2千を超えたので、目標は2千だった。もっと入ると思っていたが、少ない」。
2020年に東京パラリンピック開催が決まり、露出が増えた。陸上ではリオ大会後初の日本選手権で、しかも東京開催。前日に記者会見をし、400メートルリレー銅メダリストの芦田創(トヨタ自動車)が自らビラを配るなどしたが、効果は薄かった。近隣の学校や住民への告知で、東京都との連携不足を指摘する関係者もいた。三井理事長は「一般の方に開催をどう知ってもらうか」と課題を口にした。(後藤太輔)