昨年12月に成立した改正ストーカー規制法が14日、全面施行される。警察はストーカーの加害者に警告することなく、禁止命令を出すことができる。事態が急展開して殺人などの重大な事件に発展する例もあることから、より迅速な対応を図るのが狙いだ。
従来の制度は、まず警察が加害者に警告した上で、警告に従わず行為を続けた場合に禁止命令を出す仕組みだった。改正法では、加害者が行為を続ける恐れがある場合は、被害者側の申し出や警察側の職権で警告を経ず命令が出せる。命令に従わず行為を続けると立件の対象になる。また緊急の場合は、加害者から意見をきく聴聞を命令の後に回すこともできる。
警察庁のまとめでは、ストーカー被害の相談は昨年、2万2737件に上った。同法に基づく警告は年々増え、昨年は3562件、うち禁止命令に至ったのは173件で、いずれも2000年の同法施行以降最多。禁止命令違反の摘発は34件あった。
今回の法改正は、SNSを使い、連続してメッセージを送る行為などを規制対象に加えたほか、罰則強化などが盛り込まれ、禁止命令の関連部分以外は1月に施行されている。(編集委員・吉田伸八)