中銀カプセルタワービル=東京都中央区銀座8丁目
建築家の故・黒川紀章による初期の代表作で、建築運動メタボリズム(新陳代謝)を象徴する「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」(1972年完成、東京都中央区銀座8丁目)が、建て替えか保存かで今も揺れている。2007年に一度は解体を決めたが実施できず、16年には耐震性の不足が判明した。築45年、老朽化する一方で、所有者の意見はまとまらない。
1960年に提唱されたメタボリズムは、建築も時代や用途の変化に応じ、空間や機能を取り換え成長させればよいという考え方。カプセルタワーも各部屋を着脱できる構造になっている。140の部屋は、不動産事業を手掛ける中銀グループが分譲し、今は約90が実際に使われている。
昨年住民総会で決めた外部機関による耐震診断では、中層階の耐震性が低いことが分かった。だが、建て替え派と保存派が拮抗(きっこう)し方針は固まっていない。
そもそも、老朽化で配管などの腐食が問題になり、07年に一度は住民総会で解体が決まっていた。だが、リーマン・ショックで解体を請け負うはずだった建設会社が倒産。ほかに引き受ける会社が見つからないまま総会決議の効力が及ぶ2年が過ぎた。
そんな中、近年保存派の動きが活発になっている。
10年に、「カプセルに住むの…