記者会見するタカタの高田重久会長兼社長=2015年11月4日、東京都港区、川村直子撮影
欠陥エアバッグ問題で経営危機に陥った自動車部品大手タカタが、近く東京地裁に民事再生法の適用を申請する方向で最終調整に入った。史上最大規模のリコール(回収・無償修理)によって、実質的な負債総額は1兆円を超えるとみられ、裁判所が関わる「法的整理」で事業再生を図る。
特集:タカタ製エアバッグ問題
あわせて米国の中核子会社、TKホールディングス(ミシガン州)も米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する方向。株式の6割を握る創業家やタカタの経営陣はこれまで、「製品の安定供給が果たせなくなる」と訴え、関係者の話し合いに基づく私的整理を模索してきた。しかし、1兆円超に上るリコール費用を肩代わりする自動車メーカーが、より透明性の高い法的整理を強く求めていた。
帝国データバンクによると、タカタの下請け企業は滋賀県などを中心に全国で約570社。下請け企業がタカタの支払い能力への不安から取引を止めたりすることのないよう、あらかじめ「買い手」となる支援企業を決めて信用力を補う再建手法をとるとみられる。
再建を担う買い手は米自動車部品メーカーのキー・セイフティー・システムズ(KSS)。中国の電子部品大手、寧波均勝電子の傘下にあり、タカタに規模では劣るが、エアバッグやシートベルトなどの部品を製造している。「会社分割」の手法で、タカタから主力事業を切り出して新会社を設立する。残ったもう一方の会社にリコール費用の支払いなどを担わせ、将来的には清算する方針だ。
タカタ製エアバッグの異常破裂…