核兵器禁止条約交渉会議で発言する広島市の松井一実市長=15日、ニューヨークの国連本部、松尾一郎撮影
核兵器禁止条約の交渉会議が15日、米ニューヨークの国連本部で再開した。日本政府は不参加だが、出席した被爆地・広島市の松井一実市長が発言を認められ、条約を切望する被爆者や被爆地の願いを届けた。
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特集:核といのちを考える
松井氏は、原爆の惨禍を生き延びた広島の被爆者が長年、後遺症に苦しんだり、健康不安に悩んだりしながら核兵器廃絶を世界に訴えてきたことを紹介。「被爆者は、存命のうちに核兵器の禁止を見届けたいとの願いを持っている」と訴えた。また、議長が原案として示した条約案について、「核兵器に依存する国々が加盟するための工夫が凝らされている」と高く評価した。核保有国に対しては「本当に核拡散の防止を願うのならば、核軍縮にも果敢な指導力を発揮するべきだ」とも呼びかけた。
この日の交渉会議では冒頭、議長国コスタリカのホワイト大使が「ここにいる全員はそれぞれの国を代表しているが、この歴史的義務において団結している」とあいさつ。国連の中満泉・軍縮担当上級代表は「この協議は核軍縮分野で最も重要な交渉であり、歴史的なものだ」と歓迎した。
その後、「ヒバクシャ」を含む一節が入った議長原案の前文について各国の代表が発言、7月の最終条約案制定に向けて議論が始まった。(ニューヨーク=真野啓太、松尾一郎)