ロンドン北部フィンズベリー・パーク付近で19日、乗用車が歩行者に突っ込んだ現場周辺=ロイター
ロンドン北部フィンズベリー・パークで19日午前0時(日本時間19日午前8時)すぎ、モスク(イスラム礼拝所)近くにいた歩行者に乗用車1台が突っ込む事件が起きた。ロンドン警視庁によると、1人が死亡、複数の負傷者が出ている。同庁は運転していた48歳の男を逮捕した。ロイター通信によると、メイ首相は「テロ攻撃の可能性もあるとみて捜査している」との声明を出した。
同庁によると8人が病院に搬送された。容疑者の精神状態について調べるという。テロ担当のチームが捜査にあたっている。
英メディアの報道を総合すると、事件で少なくとも10人が負傷。バンを運転していた男が人々に取り押さえられて、警察に引き渡された。目撃者の証言として、逮捕された男が「全てのイスラム教徒を殺害する」と叫んでいたとの報道がある。
全英ムスリム評議会は「目撃情報から、犯人の動機はイスラム教に対する嫌悪であることが明らかになった」との声明を発表した。
現在、イスラム教ではラマダン(断食月)の最中。事故当時、モスクの外には夜の礼拝を終えた人々が大勢いたとみられる。
メイ首相は同日、「私の思いは負傷した人々とともにある」との声明を出した。
このモスクはロンドンで最も有名なモスクの一つ。かつてはイスラム過激派の拠点となったこともあったが、2005年に穏健なイスラム教徒を中心に運営を再開したという。ロンドンには100万人を超えるイスラム教徒がいる。
人々をはねた白いバンはウェールズ地方のレンタル会社の車だとの情報や、車内には容疑者以外に2人が乗っていたとの未確認の情報もある。現場周辺の道路は封鎖され、複数の救急車が出動している。
ロンドンでは3月下旬に市中心部の国会議事堂近くのウェストミンスター橋で、今月3日にはロンドン橋で、それぞれ車で歩行者に突っ込むなどして多数を死傷させるイスラム過激派によるテロ事件が相次いで起きた。(ロンドン=渡辺志帆)