東京電力福島第一原発事故の除染事業を巡り、準大手ゼネコンの安藤ハザマ(東京都港区)が福島県田村市などから受注した事業の宿泊費を水増ししたとして、東京地検特捜部は19日までに、詐欺容疑などで同社などの関係先を家宅捜索した。特捜部は同社関係者から事情聴取を進めており、押収した資料をもとに、水増しの経緯などを調べる。
安藤ハザマ、除染費の領収書改ざん指示 8千万円水増し
安藤ハザマの野村社長がいわき市と田村市で謝罪
水増し請求が明らかになっているのは、2012~15年に福島県いわき市と田村市がそれぞれ発注した除染事業。同社の説明によると、いわき市の事業では、下請け業者に対し、作業員1人当たりの宿泊単価を2500円、人数も約4300人分水増しした領収書を作成するよう指示した。田村市の事業でも、同じ下請けに対して宿泊単価を500円、人数を約4500人分水増しした領収書を作らせたという。
東日本大震災の復旧事業では、国が労働者の宿泊費について最終的に実費精算することを認める通達を出している。この精算の際には、領収書など支払いを証明する書類を提出するよう求められている。
特捜部は、安藤ハザマの担当社員らに対し、宿泊費をだまし取る意思がなかったかどうかなどについて任意聴取していた。