90後(1990年代生まれ)の北京市出身の女性・王萱さんは最近、ネット通販プラットフォームでココナッツジュースを買おうとした時、消費期限間近のわけあり食品を専門に扱うネット店舗を偶然見つけた。さまざまな菓子・スナック類があり、定価のほぼ70-90%引きで売られていたので、思わず「ポチッと」購入してしまった。商品が到着し、食べてみると思ったよりずっとおいしかったという。王さんは最近、消費期限間近のチョコレートを専門に扱うネット店舗に狙いを定めており、「定価で1箱89元(1元は約15.9円)するのが23元になる。値段の誘惑はとても大きい」と話す。「中国青年報」が伝えた。
ここ数年、わけあり食品に注目する若者がますます増えている。味は変わらず、価格は大幅に安いということで、これまではニッチだったわけあり食品市場が今や強い魅力をもつようになった。SNSサイトの豆瓣のプラットフォームでは、今年9月に「消費期限間近の食品を愛するグループ」が立ち上がり、それから3ヶ月も経たないうりに2万人以上のネットユーザーが参加した。「割引き価格で割引きなしのおいしさを味わう」がテーマのこのグループでは、多くのネットユーザーがこれまでに買ったわけあり食品、失敗したケース、わけあり食品を扱う近所の店を紹介し合う。
大手スーパーやコンビニエンスストアをみてみると、わけあり商品の専用コーナーを設置する店がいくつかあった。各種の菓子・軽食や飲料品のほか、日用化学品なども並べられていた。定価販売の商品と異なるのは、目立つ場所にシールが貼られ、消費期限が明示されていることだ。コンビニでも消費期限間近の食品がレジ付近に置かれ、会計の時、店員が客におすすめのわけあり商品を見るかどうかをたずねている。ECプラットフォームにも、わけあり食品を扱うネット店舗が数十店あり、創業から5-9年になる「老舗」もある。メディアによると、「消費期限間近の食品はすでに100億元規模の市場になった」という。
関連の統計データによると、世界では毎年浪費される食物が価格にして1兆ドル(104.1円)に上り、重量は13億トンを超え、消費期限間近の食品が重要な部分を占めるという。「浪費を宝に」をどうやって達成するか。一部の青年起業家がこの新たなレースに照準を合わせている。
今年2月、ネット産業で働く呉揚さんはECプラットフォームにわけあり食品専門店を開設した。2千元分足らずの商品からスタートしたところ、思いがけず2週間で完売した。それから数ヶ月間、ユーザーの約30%がリピーターになって何度も買い物にやって来た。その後、呉さんは良好なビジネスモデルを見つけられなかったためネットビジネスは終わりにしたものの、わけあり商品市場には可能性があると今でも考えている。
子どものいる丁蘭さんはわけあり食品の専門店を開こうと何年も構想を練り、今年ついに北京のオフィスビルでオープンにこぎ着けた。普段は販売の仕事をしているので、この店をきりもりする時間は捻出できる。毎日午後から夜まで店を開けていると、周囲のオフィスで働く若者が休憩時間にやって来ておやつを買ったり、コーヒーを飲んだり、おしゃべりをしたりしていく。まだ始まったばかりで、客はそれほど多くないが、丁さんは、「現在の経営状況にとても満足している。未来も希望でいっぱいだ」と話した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年12月8日