香山リカさん
東京都江東区で27日に予定されていた、精神科医で立教大教授の香山リカ氏の講演会が中止になった。共催する区社会福祉協議会が21日、ホームページで発表した。運営を妨害する趣旨の予告を受けたため、参加者の安全確保を理由に開催を断念したという。
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香山氏は「なぜ今こども食堂が必要なのか」という演題で、母子の孤立対策や支え合う地域づくりについて話す予定だった。社協によると、5日に受け付けを始めたところ、「(香山氏を)講師に呼んでいいのか」といった抗議の電話やメールが20日までに約20件あったという。「(講演会を)つぶす」と脅すような内容もあり、担当者は「小さな子どもも来場するため参加者の安全を最優先した。ネットのきつい表現の書き込みも意識した」と話した。警視庁にメールを提供して相談したという。
香山氏はこれまで、在日コリアンらへ排外的な主張をしているなどとして、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠・前会長を街頭で批判してきた。桜井氏が今月、香山氏の講演会についてツイート。ネット上では、社協の電話番号を掲載して「問い合わせると、いろいろご意見できそうですね」などの書き込みもあった。桜井氏はツイッターで、自身の講演会を香山氏が問題視していたことなどを挙げて「因果応報」とも書き込んでいる。朝日新聞の取材に、関係者を通じて「ツイッターにある通り」と回答した。
香山氏は「卑劣なやり方とは思うが、彼らにも抗議の自由はある。ちょっとしたクレームで中止を決めた社協の対応は残念というより危険だ。これまでの経験から実際に妨害されることはないと判断していた」と話した。(岩崎生之助)