ヤマトホールディングスの株主総会会場に入る株主=東京都中央区
違法な長時間労働が常態化し、大規模な残業代の未払いが発覚した宅配便最大手、ヤマトホールディングス(HD)の株主総会が23日、東京都内であった。山内雅喜社長は、荷物量の増加や人手不足に体制の構築が追いつかない状況に陥ったことを「厳粛に受け止める」と陳謝。株主からは、労働環境の改善に向けた対策を問う質問が相次いだ。
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総会には昨年を100人ほど上回る約450人の株主が出席。所要時間は昨年より20分長い約2時間だった。山内氏は冒頭、「多額の一時金発生などによる大幅な減益という結果について、心よりおわびを申し上げる」と謝罪。宅配事業が「社会的インフラとして、将来にわたって成長していくためには、社員の満足と幸せを最優先にする経営が不可欠だと思う」と述べ、労働環境の改善に全力で取り組む姿勢を強調した。
同社は、社員に支給する未払い残業代約190億円を2017年3月期決算に計上したが、再調査の結果、さらに40億円の未払いが見つかったと21日に発表した。支給対象は約1万2千人増え、約5万9千人に膨らんだ。未払い残業代の支給額がさらに膨らむことを懸念する質問に対し、山内氏は「ほぼめどがついたんじゃないかと考えている。退職された方などでご申告があれば対応していく。そのことで多少増えることがあるかもしれない」と述べ、理解を求めた。
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