新入社員の高橋まつりさん(当時24)が過労自殺した広告大手・電通(東京都港区)の違法残業事件で、東京地検が法人としての同社を労働基準法違反の罪で略式起訴する方針を固めたことが関係者の話でわかった。罰金刑を求める。同社幹部や高橋さんの上司ら書類送検された社員は、違法な長時間労働をさせたと認定した上で、不起訴処分(起訴猶予)とする方針。
同社は関西(大阪市)、中部(名古屋市)など3支社でも違法残業をさせたとして社員が書類送検されたが、これについても不起訴処分(起訴猶予)とし、捜査は終結する見通し。
関係者によると、同社の山本敏博社長は地検の聴取に、違法な長時間労働があったことを認め、労務管理が不十分だったとの趣旨の供述をしたという。一方、検察当局は残業を強制するなどの悪質な行為を確認できず、個人の刑事責任は問わないとみられる。