モスル旧市街のISが包囲されている地区では、解放作戦を進めるイラク軍とISの戦闘で多くの黒煙が上がっていた=6日午後2時31分、杉本康弘撮影
イラク軍などによる解放作戦が最終局面にあるイラク北部モスルで6日、旧市街の一角に追い詰められた過激派組織「イスラム国」(IS)が、戦闘員の家族とみられる女性と子どもにも攻撃させる戦術に踏み切った。イラク軍幹部が朝日新聞に明らかにした。イラク軍は6日にもモスル解放を宣言したい意向だったが、ISの凶行で延期を余儀なくされた。
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イラク軍テロ対策部隊のハディ・アスカリ大尉によると、同軍などは現在、旧市街の約100メートル四方にISを追い詰めている。6日中の完全解放を目指したが、同日昼すぎ、カラシニコフ自動小銃「AK47」を手にした女性たちが、「人間の盾」にされた住民に紛れて通りに現れ、銃撃を始めた。また、住民の中には自爆ベストを着た10代とみられる少年たちもいた。女性と少年はISの「家族戦闘員」とみられるという。
旧市街近くに設置されたイラク軍の前線司令本部は、6日午前は「まもなく解放宣言できる」と楽観的だったが、同日午後に「家族戦闘員」が確認されると、雰囲気が一転。作戦を指揮する軍幹部は「今日の解放宣言はなくなった」と険しい表情を見せた。
アスカリ大尉は「住民とIS戦闘員の識別が非常に難しくなった。住民の人命尊重のため、作戦の進行速度を落とさざるを得ない」と話した。
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