米ニューヨーク・タイムズ紙は9日、トランプ大統領の長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏が昨年6月、ロシア政府に近いロシア人女性弁護士から米大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン氏に打撃を与える情報があると聞いた上で、面会していたと伝えた。
弁護士が実際に大統領選への介入に関与したかは不明だが、同紙は、少なくともトランプ氏陣営関係者がロシアの手助けを進んで受けようとしていたことを示すとしている。
同紙によると、面会は昨年6月9日にニューヨークのトランプタワーで行われた。この時、トランプ氏は既に共和党からの指名獲得が確実になっていた。面会には、トランプ氏の娘婿のクシュナー氏、選対本部長だったマナフォート氏も同席したという。
ジュニア氏は面会の事実を認めた上で、同紙の8日の取材にはクリントン氏については何も言及していなかった。ところが翌9日の取材には、「(弁護士は)ロシアと関係する個人が民主党全国委員会(DNC)に資金提供し、クリントン氏を支援している情報があると言った。しかし、発言はあいまいで意味をなさなかった」と説明した。
オバマ前政権は、ロシアがサイバー攻撃などで大統領選に関与し、クリントン氏側を攻撃し、トランプ氏を支援したと断定している。選挙前後のロシアとトランプ氏陣営との関係については、特別検察官が捜査を続けている。(ワシントン=杉山正)