大阪市内の国際会議場と展示場をめぐる動き
大阪経済の活性化に活用されてきた大阪府立国際会議場「グランキューブ大阪」(大阪市北区)と大阪市所有の国際展示場「インテックス大阪」(同市住之江区)をどうすべきか、大阪府市が頭を悩ませている。それぞれ拡張や建て替えが検討されているが、カジノを含む統合型リゾート(IR)が実現すれば同種の施設が併設され、競合しかねないためだ。
特集:統合型リゾート(IR)
「現状維持か、拡張か。この1年で決めないといけない」。24日、府市のIR推進会議で、グランキューブを担当する府の部長が、インテックスとIRの三つのすみ分けについて議論が必要だと訴えた。
グランキューブがある中之島5丁目では、隣のリーガロイヤルホテルが2020年以降に近隣での建て替えを検討しており、区画整理の協議が進む。府はこの機にホテル跡地にグランキューブを拡張し、5千~1万平方メートルの展示場をつくる案を検討している。府幹部は「30億~40億円規模の投資になる」と明かす。
グランキューブ(最大の会議場は約2800人収容)は、展示に弱みを抱える。近年は国際会議と同時に関連展示をすることも多いが、グランキューブは展示用ホールが3階にあり、エレベーターで運べるものしか展示できない。他都市と会議の誘致を争った際、「競り負ける要因になっている」(府幹部)という。
日本政府観光局(JNTO)の国際会議統計によると、15年の大阪市の国際会議開催件数は、トップの東京23区(557件)、2位の福岡市(363件)に引き離され、7位(139件)にとどまる。府がグランキューブの展示機能の強化を考えているのは、このためだ。
ただ、大規模な国際会議場と展示場は、IRにも併設される見通しだ。政府はIR事業者に会議場や展示場の設置を義務づけ、カジノの収益を利用して運営させる方針。府市と経済界は今年、湾岸部の人工島・夢洲(ゆめしま)へのIR誘致を前提につくった「夢洲まちづくり構想案」で、IRに1万人規模の会議場と10万平方メートル以上の展示場をつくる絵を描いた。
しかし、府市はIRの開業時期…