河野親子の憲法、慰安婦発言
アジア重視で知られ、官房長官や外相などを歴任した河野洋平氏の長男、河野太郎氏が親子2代で外相に就任した。中韓からは好意的な声が上がるが、父親の政治的立場と距離のある安倍政権の外交を担う側面も。先行する期待とどう向き合っていくのかが課題だ。
「親の恩に感謝しなければいかんのかなと思う」。太郎氏は4日の記者会見でこう語った。洋平氏の息子の外相就任を肯定的にとらえる声が中韓両国にあることを問われ、答えた。
洋平氏は官房長官時代の1993年、慰安婦問題をめぐって「心からのお詫(わ)びと反省」を盛り込んだ「河野談話」を発表した。外相時代の95年には、先の戦争への「痛切な反省」などを盛り込んだ「村山談話」にも関わった。
太郎氏も中韓など近隣外交を重視する姿勢で、首相の靖国神社参拝には否定的な立場。洋平氏と考え方の重なる部分も少なくない。
ただ、違いもある。洋平氏は憲法改正に反対だが、太郎氏は自衛隊の存在を明記するための憲法改正に賛成の立場。集団的自衛権の行使容認も早くから唱え、むしろ安倍晋三首相の考えと近い。
「質問の中にはなかったんですが……」。内閣改造後の3日夕。記者会見でこう切り出した首相は「よく歴史認識について河野(太郎)大臣のことで指摘されることがあるが、(戦後)70年談話において河野大臣も完全に一致している」とわざわざ言及した。洋平氏は70年談話に批判的だが、太郎氏は「70年談話、日韓合意に尽きるというのが政府の立場であり、これに私が付け加えることはない」と首相に同調した。
そんな太郎氏の外交デビューは…