6日に広島市の平和記念式典で読み上げられた国連のアントニオ・グテーレス事務総長のメッセージ(中満泉・国連軍縮担当上級代表代読)は、次の通り。
被爆者「満腔の怒りで抗議」 核禁止条約に首相触れず
安倍首相、核兵器禁止条約に言及せず 「原爆の日」式典
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本日この広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式におきまして、原子爆弾の犠牲となった方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被爆者の皆様と広島市の不屈の精神と平和への模範的努力に対し、心から敬意を表します。
1946年、有識者の方々が広島復興の構想の提案を依頼された時に、広島出身の被爆作家、大田洋子(おおたようこ)氏は、『川べりには緑の樹木を多く植え、夢と実際問題とを上手に結びつけ、生活を豊かにすべきだ』と述べられたそうです。
今日、世界が広島に目を向けるとき、そこには人々の強靱(きょうじん)さと復興への多くの夢と希望の上に美しく築かれた街があります。
広島の皆様の平和への強い決意は、世界にとってのインスピレーションでもあります。
私たちは、多くの課題にみちた時代に生きています。今なお存在する1万5千発の核兵器は、時としてその使用をめぐる危険な言動と相まって、脅威であり続けています。
このような状況の中、今年は核軍縮に向けて新しい展開がありました。先月、国連加盟国は、核兵器禁止条約を採択いたしました。この動きは、いかなる状況においても核兵器の使用は容認できないことに着目した世界的な運動の結果と言えるでしょう。広島の平和へのメッセージと被爆者の方々の英雄的な努力は、核兵器の使用がもたらす壊滅的な影響を世界に強く印象付け、核兵器廃絶を目指す世界的な運動に貴重な貢献をしてきました。
核兵器のない世界は、残念ながら、いまだ現実から遠いところにあります。核兵器を保有する国々は、核軍縮にむけて具体的なステップを踏む特別な責任を有しています。核兵器のない世界への道すじは、一つではありません。私は、全ての国々に対し、この共通のビジョンの実現に向けて、それぞれのやり方でより一層の努力を尽くしていただくよう訴えます。
グローバルなビジョンは、グローバルな努力を必要とします。私は、広島の皆様が平和と希望のメッセージを世界に向けて引き続き発信し続けておられることに、心から感謝申し上げます。そして、国連は皆様と共に、核兵器のない世界を実現するためにこれからも努力を重ねて参ります。