アルツハイマー病の発症メカニズムは非常に複雑で、臨床上効果的な治療方法や治療薬が存在していない。中国科学院昆明植物研究所が19日に明らかにしたところによると、中国の科学研究者はこのほど初めて、リモノイドがアルツハイマー病治療のリード化合物になりうることを発見した。これは新薬開発に新たなアプローチを提供した。科技日報が伝えた。
アルツハイマー病は高齢期に生じる最も一般的な神経変性疾患だ。中国の患者数は現在世界最多で、その介護と治療は家庭や社会の重い負担になっている。各大手医薬品メーカーや科学研究機関は近年、アルツハイマー病の新薬の潜在的なターゲットの模索、及びこのターゲットに効果を発揮する新薬の開発を模索している。中国では、要介護の高齢者やアルツハイマー病などの予防と干渉の強化が、第14次五カ年計画期間(2021−25年)の「健康中国」建設の全面的な推進の重大任務となっている。
中国科学院昆明植物研究所植物化学生物学チームのメンバーである◆小江院士(◆は赤へんにおおざと)のチームは長期間にわたり、植物由来のアルツハイマー予防活性物質の発見に取り組んでおり、一連の成果を上げた。例えば、昆明動物研究所の蔡景霞氏のチームと協力し2期臨床に入った「フェンクロベンピロン」、中国科学院遺伝・発育生物学研究所の楊崇林氏のチームと共同発見したリソソームの生成を促す重要な活性リード化合物「インゲノール」などだ。
◆小江院士のチームは同研究所の姚永剛氏のチームと協力し、ニガキ科の植物「牛筋果」から珍しい構造を持つリモノイドを発見した。その構造は最終的にX線単結晶回析実験で確認された。タンパク質免疫ブロット技術、酵素結合免疫吸着試験、細胞トランスクリプトームシーケンシング分析により、この化合物が多くのターゲットに効果を発揮することが分かった。この新しい発見は、アルツハイマー病の新薬開発に転機をもたらす可能性がある。関連成果は巻頭記事として、有機化学の権威ある学術誌「Organic Letters」に掲載され、発明特許を出願済みだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年1月20日