男子60キロ級で優勝し、金メダルを手にする高藤直寿=角野貴之撮影
ブダペストで28日に開幕した柔道の世界選手権。第1日は男女の最軽量級が行われ、日本勢は男女で金メダルを獲得する好スタートを切った。男子60キロ級は高藤直寿(パーク24)が2013年以来、3大会ぶりの優勝を果たした。初出場の永山竜樹(東海大)は3回戦敗退。女子48キロ級は渡名喜風南(帝京大)が初出場で頂点に立った。リオデジャネイロ五輪銅メダルの近藤亜美(三井住友海上)は準決勝でモンゴルの選手に敗れたが、3位決定戦に勝ち、銅メダルを獲得した。
高藤4年ぶり金 渡名喜は初出場で金 柔道・世界選手権
■高藤完勝、復活のV
派手なガッツポーズも、歓喜の涙もない。優勝を決めた瞬間、高藤は少し笑っただけだった。全5試合で1ポイントも失わない完勝。「(相手に)投げられる怖さはなかった。どんな技をかけられても対応できた」。勝利の言葉の端々に自信がにじんだ。
銅メダルに終わったリオデジャネイロ五輪からの1年は、追われる重圧との戦いだった。東海大の後輩、永山の台頭だ。リオ五輪からの復帰戦だった昨年末のグランドスラム東京で一本負けを喫し、続く4月の全日本選抜体重別選手権でも完敗。「永山の名前を聞くだけでも怖いですよ」と漏らしたこともある。
永山に勝てないのはなぜか。自問し、己の非力さを痛感した。ロープ登りが主体の筋力トレーニングや、「効果を信じていなかった」というジム通いも始めた。冬を越え、Tシャツがはち切れんばかりに太くなった肩と腕。「格段に組み手が強くなった」。海外勢にめっぽう強い対応力と、天才肌の多彩な技。そこに力強さが加わった。
井上監督は言う。「リオ五輪で…