キリン堂北花田店の目薬売り場=堺市北区
職場でパソコン、自宅ではテレビ、移動中もスマートフォンと、暮らしの中で、目が酷使されがちです。疲れを癒やすために目薬を使う人が増え、売れ筋の価格帯も上がっています。
きりとりトレンド 話題の商品を紹介
ドラッグストア、キリン堂全店で今年2月末までの1年間で売れた目薬の単価は、3年前より7%高くなった。堺市の北花田店でも、12~15ミリリットル入りで一つ1千円を超える商品が目に付く。
田原康一店長は、「300~400円程度の標準品より有効成分量が多いと説明をすると、選ぶ人が増えている」と話す。目の疲れを自覚している中高年層が購入者の中心という。標準品と違って特売が少なく、利益も増えている。
調査会社のインテージの調べでは、2016年度の国内の市販目薬市場は約711億円。4年前より1割近く伸びた。
成長を引っ張るのが、主に中高年層をターゲットにした1千円強の商品だ。生活での目の疲れに加え、加齢で衰える視覚機能の改善に効くとうたうものも多い。こうした商品の市場は、4年前の1・4倍になっている。調査の担当者は「スマホの普及などで、目への負担が増している。目薬市場の勢いはまだ継続するだろう」。
メーカー側も、有効成分の量や種類を増やすことに力を入れる。成分の種類が増えると、一般に3年間の市販薬の使用期限まで、きちんと効くよう安定させることが難しくなるが、製剤技術が向上し、新商品につながっている。
標準品だと5種類前後の有効成分数は、1千円強のものだと10種類前後に増やせる。その分、単純な疲れだけでなく、炎症を鎮めたり、充血やかゆみを抑えたりと、さまざまな症状の緩和に働くという。(伊沢友之)
■ブルーライトでの炎症に
ロート製薬の「Vロートプレミアム」には、国内の市販品で最も多い、12の有効成分が配合されている。疲れ目を癒やすだけでなく、目の乾きやピント調整筋の疲労、ブルーライトなどによる炎症などにも効く。15ml入りで1620円。
■瞳の老化 気になる女性に
参天製薬の「サンテボーティエ」は女性向けの商品として売り出した。「瞳の老化をケアしたい」女性が多いという調査結果を受け、代謝を促進する有効成分を最大濃度で配合した。点眼時にメイクが崩れにくいよう細めのノズルにするなど、容器も工夫した。12ml入りで価格は1620円。
■ビタミンAで角膜再生
ライオンの「スマイル40プレミアム」は、40代以降をターゲットにした商品。目の保水力の回復や角膜の再生などに効くビタミンAを市販目薬で最大量配合した。同社が洗濯用洗剤などで使う界面活性剤の技術を使って、ビタミンAの角膜への吸着性も高めた。15ml入りで価格は1512円。
■加齢で衰え あきらめない
大正製薬の「アイリス40」は、加齢によって衰えた視覚機能を改善できるという。瞳の新陳代謝を促す活性型ビタミンB2やタウリンのほか、水晶体のピント調整機能を改善する成分も含まれている。14ml入りで価格は1036円。
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売れ筋を中心に選びました。価格はキリン堂での税込み販売価格
■キリン堂での目薬の売れ筋ランキング
①サンテFXネオ(参天製薬) 410円
②Vロートプレミアム(ロート製薬) 1620円
③ロートVアクティブ(ロート製薬) 1404円
④ソフトサンティア(参天製薬) 615円
⑤サンテボーティエ(参天製薬) 1620円
⑥ロートゴールド40(ロート製薬) 718円
⑦ロートジー(ロート製薬) 410円
⑧サンテメディカル12(参天製薬) 1598円
⑨スマイル40プレミアム(ライオン) 1512円
⑩ロート抗菌目薬i(ロート製薬) 1008円
※全店の2016年8月~17年7月の販売データ。価格は税込みの実勢額(きりとりトレンド)